病院の受診時にまつわる環境の変化

大学病院や国公立の大きな病院では、外来診察を受ける患者の環境が随分と改善されてきています。従来は診察券を出してから病院を出るまでに、3時間4時間かかるのは当たり前だったのです。場合によっては、午後までずれ込んだり、丸1日かかってしまったりと通院は1日仕事で、かえって体力を消耗して帰宅する人も多い傾向にありました。
診察で待たされて、会計で待たされて、薬局で待たされてと、診察以外のことで時間を取られることが多かったのです。それが、予約システムの導入や電子カルテの普及、会計部門のコンピューター化、院外処方箋の制度が確立されたことによって、待ち時間が大幅に短縮されています。

ただし、胃カメラや内視鏡検査、MRIといった検査の場合は、予約をして数日から1カ月程度待たされることも少なくありません。病院によっては、提携先の小規模病院で行なうこともあります。待ち時間の短縮化には、かかりつけ医の紹介状が必要になったことも関係しているでしょう。紹介状がなければ、数千円を取られる覚悟で行く必要があるのです。厚生労働省が大きな病院を特定機能病院として、小規模病院との差別化を図ったことも要因としてあるでしょう。
また、電子カルテが普及するにつれて、2科目以上の診察の掛け持ちも容易になりました。大きな病院での待ち時間が長いことは、昔からよく指摘されてきており、3分治療などと批判の対象となっていました。多くの病院で悪い慣習が改善され、患者の負担が軽減されてきたことは喜ばしいことといえるでしょう。