医療業界の課題は慢性的な医師不足

医師になるためには、最低6年間大学で勉強したのち、医師国家試験に合格してはじめて医師免許証が交付されます。中には、大学を受験で浪人する人もいるので、8年9年かかる場合もあるのが現状です。大学を出ても直ぐに医師として活躍できるわけではなく、そこから数年研修医として各医療機関で働き、やっと一人前の医師となれるのです。
平均10年以上かけて医師になるわけですから、見識が高くなるのは当たり前といえます。中には、医療に対して情熱をもって取り組んでいる医師もいますが、医療業界の中でほんの一握りでしかありません。せっかく一流大学の医学部を出たのに、わざわざ田舎の病院に行く医師は少ないといわれています。なぜなら、都会の方が医療設備が整っており、治療にあたりやすいからです。

都会が駄目なら地方都市の医大もありますが、まだまだ数が足りません。政府は特区構想による規制緩和で医大を増やそうとはしていますが、大学を作ったところで学生に指導する医師も不足しています。医大を増やしていくには、県と国が連携して、一大プロジェクトを立ち上げて遂行していく必要があるでしょう。しかし、政府で掲げる特区構想も、医師会の反対で各地方時自体が及び腰になっています。
医師会では安易に医大や定員を増やせば、医療の質が落ちる懸念があると反対しているのです。ですが、その実情は、医師の付加価値が下がるのを懸念していることにあります。どこの業界でも、増えてよかった試しがないので、医師会が反対するのは当たり前かもしれません。国や地方自治体が、医師会とどのように折り合いをつけていくかが、医大を増やしていくうえでの今後の課題となります。